ボクのインドネシア留学記、からの。

インドネシア留学から始まったこのブログ。食べ物から交通機関、文化やお金のことまで役立つ情報ををちょこっとお届け。失敗ばかりのこの体験も誰かの役に立つはず!その後の展開とは?

身近でのテロ。そして情報の恐ろしさ。

"Hey no one is in thamrin right?"

"there's bomb there. I hope everyone is safe. avoid this area"

という留学生のチャットグループに突然投げられたメッセージで、僕は事件の発生を知りました。1月14日午前11:10のメッセージです。

 

この時僕はモールの中にいました。幸いなことにwifiが使える環境だったため、とっさにツイッターで「jakarta explosion」と検索してみると、すでにリツイートで出回っているニュース記事がいくつかありました。それを見てみましたが「ジャカルタ中心部で複数回の爆発が発生」としか書かれておらず、詳細は未だ何も入ってこない状態でした。そのため、同じ街のどこかで爆発が起きているなんて全く実感がわきません。モールの中はいたって普通。本当なの?とも思っていました。

 

グーグルのニュース検索でヒットした何件かのニュースも情報がばらばらです。警察署が爆発しただの、スターバックスが爆発しただの、死者は1人だの、死者は3人だの。どれが正しいんだよと思いつつ、ネットで情報収集を続けていると、再び留学生グループにメッセージが。

"Palmerah too!!"

午前11:31。今度は先ほどのThamrin(このエリアの中に事件現場のサリナデパートがあります)という場所から西に5kmほど離れたPalmerahというエリアで爆発が発生したとの情報です。おいおいおい、同時多発的かよ、やばくないかと少し焦る気持ちが出てきました。この場所は寮の近くだったため、グループチャットでも「Oh My God」「みんなどこいる!」「外出は控えて!」のような慌ただしいメッセージが飛び交います。

 

ちょうどこの辺りから、留学生の世話人であるバディ達が動き出し、留学生一人一人の安否確認を始めているところでした。僕も何人かのバディや留学生と無事!?というようなメッセージのやり取りをしていました。

 

午前11:40。在インドネシア日本国大使館から緊急メールが届きます。

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これで爆発発生が確信に変わりました。

 

そして、午前11:54。

"Slipi, senayan, DPR, alam sutera..... all bombed"

とのメッセージがグループに投稿されます。本格的な同時多発テロが来たな、と背筋が凍りました。まさか自分がいる時にここまで大規模なテロが起きるなんて想像もしていなかったです。

 

ちょうどこの頃、何人かの日本人や海外にいる友達からも生存確認のメッセージをいただきました。日本や海外でも速報ニュースが流れだしたようです。だんだん大事になっていくような気がして、漠然とした不安に駆られていました。

 

午後12:25。在インドネシア日本国大使館から3通目の緊急メールが届きました。

 

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これで同時多発であることも確信に変わりました。不安が増々募っていきます。

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全ての爆発報道を地図にポイントしてみるとこうなります。①がサリナデパートですが、その後爆発が広範囲に拡大しているのが分かるかと思います。

そして午後12:37。インドネシア人の友達からLINEが来ます。

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これ、順に次の爆発のターゲットになっていくモールの名前のリストだそうです。上から3つ目に、僕がその時いたモールの名前が明記されています。なんだよこれデマだろ、インドネシア語で読めないんだよ!嘘であってくれよ。そんな気持ちでした。不安が加速します。彼はとにかくそこを離れろと言ってきます。どうすりゃいいんだよ。

 

こうした様々な情報が渦巻く中で、親しいインドネシアの友達、日本の友達、海外の友達からの無事か?というメッセージが僕を落ち着かせ、冷静にさせてくれていました。ありがとうございました。

 

結局こんなソースもはっきりしない情報を僕は信じず、モールの中に留まりましたが、爆発は何も起こりませんでした。

そして次第に明らかになる真実。皆さんもうニュースを見てご存知かとは思いますが、実際は爆発はサリナデパート付近のエリアでしか起きておらず、他の地域では発生していなかったのです。全てはインターネット上で作り出された偽の情報でした。

この情報にTV局や新聞社、ニュースサイト、SNS、大使館までもが踊らされ、さらにその情報が新たな誤解を招くこととなったのです。たった1,2時間で偽の情報が出回り、浸透してしまう現在の情報社会の恐ろしさを身をもって体感しました。単純に怖いなと。

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(こちらが爆破テロに関する正確な情報です。1/14 20:00 在インドネシア日本国大使館からのメールより)

友達が言ってたから、ツイッターで見たから。それだけでその情報を信じて拡散してしまう人が大勢いるということでしょうか。まずはそのソースが絶対的に信頼できるものであるかを確認したうえで、広めるなりなんなりするべきです。

 

しかも今回は、避難するかしないかを決定づける情報(今後の爆破地リスト)にまで、偽情報が染み込んでしまったため、大きな混乱を招く要因となりました。

インドネシアは携帯電話の普及率が近年で格段に上がりましたが、情報リテラシーに関する教育が追いついていないことが露呈した一件だったと僕は思います。今後、情報化社会がさらに進展していくと予想される中、インドネシアが取り組むべき課題の一つが見えたのではないでしょうか。

 

今回は少し堅めに書いてみました。

テロはいつどこで起きるか誰も予想できません。人が多い場所には極力行くなと言われてもそれは無理ですし、むしろ起きた際にどう対処できるかが重要なのかもしれませんね。

 

16/Jan/2016